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「なぜ自分が」整理つかず:だましのプロ 巧妙な手口
 遍路やうどん店など、四国の観光名所を紹介するCD―ROMの販売事業へ投資すれば、高額の配当が得られるなどという架空の投資話で金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた会社経営の男の公判が地裁で開かれている。被害額は起訴されているだけで約9500万円(被害者11人)に上る。ベイエリアの高層ビルの事務所、ホテルでのパーティー、巧みな話術……。男は〈だましのテクニック〉を駆使していた。被害者は30~70歳代の会社員など。なぜ男の話に引き込まれたのか。被害者に話を聞いた。(黒川絵理)

 男は板東正直被告(67)。登記簿によると、広告企画会社を経営していた。同社は2004年から3年間、県が管理する高松市のサンポートシンボルタワー7階のベンチャー企業が集まるフロアに事務所を構えていた。「誰でも入居できるところではないんよ。選ばれたもんだけ」。高松市の自営業の男性(50)は、知人の紹介で板東被告に初めて会った06年秋、そうささやかれ、事務所に招き入れられた。

 CDは1枚7000円。売れるような商品には見えなかったが、板東被告は県内で組合に加入しているホテルなどが購入しないと営業できない、と説明。そして▽800万円の投資で1か月後に元金と160万円の利息をつけて返す▽その後3年間、毎月最低25万円を振り込む――という話を持ちかけてきた。

 「そんなうまい話はない」。不信感が募ったが、板東被告は「私はもう県の名士なんや。お金も十分ある。今度は施す番や」。そして、「ちょうど今日が、申し込みの締め切りの日なんや」と続けた。その日に200万円、1週間後までに計800万円を託した。手元には板東被告が走り書きした「契約書」だけが残り、事業資金に手をつけてしまった男性は職を失った。

 高松市内の50歳代の会社員女性の場合は05年末、板東被告が主催した忘年会パーティーがきっかけだった。同市内の高級ホテルに集まったのは約60人。国会議員秘書や、スポーツ選手もいた。「遍路を広めるために」板東被告が企画したという音頭が披露され、3分間の自己紹介で出席者は「板東さんはすばらしい人です」と次々と口にした。「人脈も、人徳もある人」。女性はそう信じ込んだ。

 パーティーの数日後、女性は事務所に呼ばれ、「僕に縁のある方にもうけさせてやりたい」と投資を勧められた。元金はわずか1か月後には戻る。観光や遍路に関心もあり、500万円を投資した。しかし、約束通りの振り込みは一度もなかった。

 今年3月に始まった公判の中で、板東被告は起訴事実を認め、「心から謝罪申し上げます」と述べた。女性は金を託した時の心境を「いつもだったらそんなうまい話は怪しい、と考えるが、その時は男の言われるままに、『大丈夫』と思える理由ばかりを考えた」と振り返る。

 「金に目がくらんだ」。2人は周囲からそう責められたが、女性は言う。「そんな簡単なことではない。詐欺の被害者にはならないと思っていた自分が、なぜだまされたのか、今でも考えてしまう」。心の整理はつかないままだ。

 悪徳商法被害者対策委員会(東京)の堺次夫会長の話「被害に遭ってから被害者が口にすることの多い言葉に『まさか自分が』『(だました人は)あんなにいい人だったのに』『ちょっとおかしいとは思ったんだけど』が挙げられる。悪徳商法は身近にあり、巧妙。少しの疑いはすぐにぬぐい去られてしまう。相手はだましのプロ。自分も含め、元々人間はだまされやすい、と考えていないと、誰もが簡単に被害者になりうる」

更新情報 お知らせ一覧に戻る|読売新聞 2010年7月27日 参照

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